私の友だちの八木ちゃんは、肉好きです。それも特に白い脂身なのです。
あの繊維感のないジャリっとした歯応え、ほんのりとした甘みがたまらないらしいのです。
肉屋さんで牛肉を買った時に油用に付いてくる白いラードの塊こそ最高のオマケだと信じてたそうです。
子供の時に、家族ですき焼きを囲む際は、己れの意図はひた隠しにして、素早く白い脂身だけをゲットしていました。彼にとってすき焼きは、一つの戦場でした。何故なら全ての人が赤い肉より、量的に少ない白い脂身の方が好きに違いない、と思っていたからです。
大学で上京し、コンパで肉を食べる機会が増えました。そこで初めて白い脂身だけがいつも残されていることを発見しました。すき焼きは落ち着いて食べてもいいことに気付くのに、20年かかったそうです。
しばらく会ってないけど、脂肪肝とかになってないといいのですが・・・